B’z LIVE-GYM 2017-2018 LIVE DINOSAUR名古屋公演へ行ってきた。


2017年12月30日 ナゴヤドーム


12月28日のお昼。
そういえばフェスのセットリストはどうだったかなーという軽い気持ちでリアルタイム検索をしたRADIO CRAZY、流れてきた情報は「B'zが中断してる」なんだろう?機材トラブルかなんかかな?「2曲で中断して客電も付いてる」これはただ事ではない、ステージが小さいって話だったからもしかして将棋倒しでも起こったか・・・

「稲葉さんの声が出ない」

「え?」
本当に携帯を握りしめたまましばらくアタマが働かなくなった。そんなバカな、ほんの5日前に行ったライブではむしろいつもよりも調子が良いぐらいだったじゃないか。何かの間違いであって欲しいという願いとは裏腹に徐々にわかる詳細にさらに衝撃を受ける。

今までだって調子が良くないときは何度かあった。でも、中断したことは1度もなかった。・・・なんて言ったらいいのか言葉が見つからない。自分でもびっくりするぐらい動揺してしまって、私がうろたえたところで何が変わる訳ではないんだけど、それでも。

一番の懸念は明後日に迫っているナゴヤドーム2デイズ、そんなにすぐに喉って治るもんなんだろうか?大事をとったほうがいいんじゃないか。聞きたいのに聞きたくない、何をどうすることが正解なのかわからない。今まで経験のない事態に、不安に押しつぶされそうになる。でも、どこか一方でこれまで30年やってきたんだから大丈夫だという気持ちもある。どっちつかずな感情がゆらゆらして、情緒が不安定になる。刻々と時間は過ぎ、29日の夜に名古屋へ向けて出発。こんな気持ちでB'zのLIVE-GYMに行くのは初めて。やっと振り替えられる過去になったから今こうやって書けているけれど、あの時は本当にそれどころじゃなかった。そんな余裕はなかった。
いつもよりギリギリに入場。出てきた座席券は1階スタンド正面のやや下手側、スピーカーの近くでスコーンと音が気持ちよく届く普段だったら当たり席・・・だけどこの日はなんてよりによってと思った。ナゴヤドームは満員、圧倒的な人の数に今どんなことを思っているんだろうと考えはじめるとまたぐるぐると思考スパイラル。。

祈るような気持ちで、いや実際に祈りながら開演を待つ。

ネタバレ注意!!!



毎回そうですが、ライブの感想・印象についてはあくまで私個人の感想です。
あと、この公演ほっとんど内容を覚えてないのでただの心情吐露w


ブザーが鳴り響き、オープニングムービーが始まる。一度幕が上がってしまったらThe Show Must Go On、ショーは続けなければならない。 福岡ではモニターが壊滅状態の座席だったので、初めて見ると言っても過言ではない状態のムービー。ジャングルの中を行く映像、遠くで恐竜の吠え声のようなものが聞こえ、割れた卵、倒れたあの恐竜出没注意の看板が「B'z LIVE-GYM LIVE DINOSAUR」とタイトルコール。イメージとしてはジュラシックパークみたいな映像。

声明
ジャーン!というギターの音に稲葉さんが演説台みたいなものと一緒にド正面からせりあがってくる!!!ちょ!超カッコイイ!!!このオープニング(繰り返しになりますが福岡ではサイドすぎて良くわからなかった)ドツボである。衣装とのマッチ感も完璧すぎる最高。
緊張の第一声を聞いて「こえ・・・出るじゃん(泣)」と思ったのもつかの間、2番に入ったあたりから苦しげな感じ。いつものバーンと突き抜けるような張りが無くてちょっと抑え気味に歌ってる。前の席のお姉さんが座り込んで号泣している。わかる。

CHAMP
大好きなこの曲のイントロがこの日は恐かった。レディクレと同じ並びのところも。Aメロ、声は伸びないけれど歌えてはいるのに、サビを過ぎたあたりからガラガラの声になる。艶やかさのないガサガサした感じ「冷めた目で己を見よう」あたりは誰の声なのかわからないぐらいしゃがれている。頑張れ、頑張れ。動きも控えめで表情も硬い、大丈夫かな。それにしても、この曲は高低差が激しすぎる。誰だよこんな曲作ったの。

暗転がながくてドキドキする。中止にはならないだろうけど、でも。

ようこそ
恐竜のセリフの翻訳は一切なくなってて、できる限り喋らせないようにしてるんだろうなと思う。
でも、喋ってる時の声とようこそー!の声はいつもとあまり変化なくてちょっとだけ安心した。

孤独のRunaway
昔の曲は歌いやすいのか、違和感ないレベルまでもっていけている。でも、いつどう転ぶか分からないからハラハラはしながら。私の左側の人は何も知らずに来ていたようで素直に羨ましい。「愛をなぐってみよう」で松本さんのグーパンチ、まっちゃん…(´;ω;`)ウゥゥなんていうか本当に悲しくなるぐらいにいい音のギター。完璧な演奏。
暗転の最中もこまめに水のコップのところへ。
ハルカ
出だしはイケる、歌えてない訳じゃない。でも進むにつれてやっぱりだんだん苦しくなって駄目だ!というギリギリで水→復活。そんなガラガラの声なのに、いつもと変わらぬ場所で全力でシャウトをかましてくる。喉、壊れてしまうんじゃないだろうか。痛みは無いのだろうか、いや無いってことは無いよな…そんなことを考えていると、なんでこんなことになっちゃったんだろうと悲しくなって辛い。分かって行ってこれだけショックなんだからレディクレ勢の衝撃は想像すら出来ない。低空飛行をギリギリで続けている。

ルーフトップ
やべぇ。出だしからやべぇ。
駄目だ、この曲は今の喉の状態じゃ相性が悪い。心臓がバクバクして足が竦んでくる。もともと大好きな曲でプレミアムと福岡で完璧な状態で聞いていたからかもしれない。全体的に割れたような声、「はがゆーい」はすべて濁音が付いてしまっているようで「あぁもし明日もこの状態だったら来るのキツイな」と思っていた。あと、やっぱり強めの憤りというか、ここで無理をしてもう二度とあの声が聴けなくなってしまったらどうしたらいいんだろうと思ったら逃げ出したいぐらいに怖かった。


稲「こんばんは!久しぶりにナゴヤドームに戻ってきました。・・・あのー、ご迷惑とご心配をおかけしまして、(左手を広げて胸に当てながら)大丈夫。色々悔しかったり悲しかったりするけれど、そういう時はスタッフやバンドやファンの愛情を感じます。そんな愛情に支えられて、私今日死ぬ気で歌いますから。死ぬって言っても死なないから。だから今日は僕のことは忘れて(笑)みーんな忘れて!楽しんでいってください。」
驚いたなっていうのが第一に。もしかしたら触れずにそのまま行くと思ってたから。こうやって喋る姿を見ても、そういうフィルターがかかってるのかもしれないけれどあんまり顔色もよく無くて病み上がりみたいな感じに見えた。2002年の年末Mステのもう一度キスしたかったからさらに覇気を抜いたような。でも、大丈夫と笑ったときにすごく強い目をしていて、あ、この人やりきるなと思った。心配させまいとする気丈さが稲葉さんらしくって思わず唇を噛む。


FIREBALL
・・・とホッとしたのもつかの間、イントロにクラっとする。誰だよこんなセトリ組んだの!いつものようにアギャギャシャウトもあり、血の出そうな喉の使い方にお願いシャウト控えて(´;ω;`)って思うも、この人言ったそばから死ぬ気でステージに挑んでいる。

暗転が長い。準備が整うまでみんなじっと待つ。
Don't Leave Me
左手にコップを持ったまま歌う。あぁ、こんな姿は見たことが無い。歌って、掠れて、飲んで、歌って、また掠れての繰り返し。ちょっとでも隙間を見つけて水を飲めば(というか湿らす程度なのだと思う)復活する。たまに横を向いて咳き込んだりしながらも1フレーズ1フレーズ乗り越えていく。しかしながら、ドンリブって調子が悪いと独特の色気みたいなものがある気がする。

赤い河
先週はあんなにイントロで叫んだこの曲も今日はそれどころじゃない。長いイントロに少しでも休めたらいいなと思う。そういえば今日はネクタイもしてない。ちょっとでも負担を減らしてるんだろうか。もう、なりふり構わずに歌を伝えることにだけ集中してる。焦燥感というか焦りとかは感じなかった、状況を受け入れてどうやったら最善を尽くせるのか試行錯誤してるような。

SKYROCKET
移動曲な訳ですが、片手にマイク片手に水。花道の先にも水が準備してあって、途中にはスタッフがペットボトルもって待機。松本さんのカニさん歩きに一瞬だけ心が和む。明るくてハッピーな曲だからね、一生懸命手拍子しますよ、シャララのコーラス歌いますよ。ハートはあったかな(覚えてない)

それでもやっぱり
!バラード・・・と身構えたものの今までの曲に比べだいぶ楽そう。声の出そうなところを考えながら調整して歌ってる感じ。

道中でドラゴンズのタオルを拾い、独り言のように「今日は地元を味方につけたい!」って味方しかいないからww
愛しき幽霊
ここでも水は手放さず、謎の三角形の上に座って(ちょっとバランス崩しかけたように見えてヒヤッとした)「球場にいますよね、こういう人。これビール」と水の入ったコップを掲げる。ここのキーボードソロすごく好きーとか思ってたので、ちょっと他のことを考える余裕が生まれてきた模様。

弱い男
ステージ下の映像を見ながら、実際のところ今日は戦場なんだろうなと想像する。松本さんギターソロのしょっぱなを盛大にミスる。

Purple Pink Orange
個人的に一番キツかったのがこの曲。ACTIONの光芒で「だれーかにとってのー」ってすっごい魂入れて歌ってた時あるじゃないですか。あれ1曲丸々やったらこうなる感じ。両手握りしめすぎて手の甲から出血してるんですけど← あぁでもルーフトップとPurple Pink Orangeはしんどかったな。 

メンバー紹介。全然記憶にないんだけどみんな喋んなかったんだよね・・・?
イチブトゼンブ
「そろそろ歌いましょうか?」ということでお馴染みのこの曲の持つ明るさに救われる。この辺りからあんまり声の調子が気にならなくなったというか、楽しむ方向にいけた。Yeahー!とかが良く通るようになってきた気がする。ナニガナンデモーのコーラスが大きすぎて思わず笑う。そうだよ、みんな支えようとしているんだよ。

DIVE
限界を探り探り出してしてはいるんだけど苦しげではない。あれ?いつものLIVE-GYMみたいになってきた。DIVE超好き。あと、この日ファンクラブ席だったからか盛り上がり方が半端なくて、ギターソロとかでもみんなずっと手を上げていて、客席から追い風のようなものを感じた。

Dinosaur
イントロの松本さんのギターに集中して、一気にステージが明るくなってダイナソー君のバボットにパッと色が付く瞬間はすごく鮮やかで正面からみると思わず歓声を上げてしまう。今更ながら今年のサービスモニターはとても高性能。ってか間違いなく声が出るようになってる、ラストの太いシャウトとかド迫力だったもの。いや、どうなってんだ?

King Of The Street
今日はちゃんとツアータオル持ってきましたから。ドームに広がる色とりどりのタオルが綺麗。モニターにきぐるみ映るのもったいない。ホントもうこの辺りは本当に楽しくて、なんも覚えちゃいない。これはイケるかも・・・という確信がだんだん大きくなる感じ。

フキアレナサイ
「名古屋−フキアレたいですかー!?」という声とともにあの黄色いデカイ扇風機が運ばれてくる。あ、正面から見ると真ん中だけが会場の映像になってるってことなのか!
コール&レスポンスの最中「この辺で声出せますかー!(客:いぇーい)声でないと思ってるでしょ?出すから!!出すよっ!!」ホント、声でないと思ってるでしょ?って言われたときにドキッというかビクッとなってしまった。同情の声なんかいらないんだよねってかホントに声出るようになってんだもん。と、同時に自分が「声でないと思われてる」こともちゃんと認識してるんだなってわかって心がぎゅっとした。

基本ラインは福岡と一緒。語尾は「よろしければお付き合いください」に変化。
稲「今日は年末のめっちゃ忙しい時に集まってくれて…付き合ってくれて…パワーを頂きました。名古屋の愛情をいっぱい感じました。今日は来てくれてありがとうございました(長いお辞儀)」付き合ってくれてあたりが明らかに涙声になってて私狼狽。C'monの千秋楽の「僕は思います」に匹敵するような。

Still Alive
あぁ、ここまでくればもう大丈夫だ、よくここまでたどり着けたなという安心感が広がる。たぶん会場全体にもそういう空気感があったと思う、異様なテンションだったものwあと銀テの位置がフキアレナサイから変わってた。2017年色々な場所で聴いたこの曲だけど、一番聞いてて嬉しかったのはこの日。

鳴りやまない拍手。ウェーブが速攻でまわってきて少し休ませてあげて欲しいと思いながらも今日の客席はとても暖かい。
ultra soul
松本さんはツアTの黒、稲葉さんはオリーブ、ニューエラコラボなのかな?黒のキャップ。
「己の限界に気付いたつもりかい」という歌詞を噛みしめながら、限界超えてんなと思う。ってか客席みんな歌ってるしテンションおかしいw(褒めてる)序盤はあまりに壮絶すぎて感情が過労死しそうだったけれど、この人B'zのシンガーの責任を果たし切ったわ。

BANZAI
人生で一番心が震えたバンザイ。もう、イントロから嬉しくって嬉しくって私の感情がぶっちぎってまさにバンザイ状態。とどろけ歓喜の歌よ!!!ここまで来たことを称えましょうという歌詞がこれほど似合うシチュエーションにはもう二度と出会えないと思う。周りのお客さんのテンションも更におかしくギターソロ辺りではもう誰も手を下ろさないし拍手鳴りやまないし、始まって最初の数曲の間ではこの光景はちょっと想像ができなかった。「アイラビューナゴヤ!!!」いただきました。

いつもの「せーの、オツカレー」の前に「それじゃいきましょうか」という一言が入って、ステージの上でも下でもみんながこの言葉をただひたすらに目指していたんだなと思うと涙が出そうになる。むちゃくちゃ待ち焦がれていて、死ぬほど聞きたかったオツカレ。

松本さんとすれ違う時に拳を突き合わせて、ひときわ大きな歓声。ふたりとも晴れ晴れとしたホッとした笑顔。
稲「みなさんのもってるパワーはホントに凄いです。今日はそれを痛いほど感じました。ありがとうございます。外は寒いので気を付けて帰ってください。バイバイ!」
帰り際、松本さんが稲葉さんに肩をポンと叩く。私、千秋楽のハグのお互いを称えあう感じがすごく好きなんですが、この日は「良くやったな」という労いが見えた。ほんっっっとに良くやりきったよ。松本さんも大変だったと思う、正直なところ今回こういうことになって、稲葉さんに対しては「自分自身では止められないかもしれない」と思っていたけれど(いや、失礼な話なのは分っちゃいますが何年も経ってから喉の手術の話されたり、終わった後シャワーで立っていられないなんて話聞くと・・・ねぇ?)松本さんが居てくれたから、最悪の時は・・・取り返しがつかなくなる前に彼ならきっと止めてくれるだろうという気持ちがあった。松本さんが居たから見届けられたという部分は確実にある。

終演後思わずグッズ売り場に直行して買ってしまったメモリアルプレート。不調をウリにするような人たちじゃないから、音源も映像も残してくれないと思うけれど、私はこの日のことを一生忘れないと思う。

まとめ
すごいもんを見せられちゃったな。

ほんとに、今更ながらに。もともと大晦日でもないし、特に注目されていた公演ではなかった。なのに、こんな劇的な公演になるなんて・・・こんな劇的なツアーになるなんて夢にも思わなかった。終わって一気に押し寄せてくる安堵感と充足感に思わず椅子に座り込む。
序盤は異様な緊張感というかピリピリした空気があった、それがだんだんとほぐれていって最終的にとても暖かい空気になった。不本意かもしれない。私もこれがLIVE-GYMだと思われるのは悔しい。でも、いつも圧倒的なステージを見せつけて支えてもらってるんだもん、たまにはこういう支える側になってもいいんじゃない。闘うB'z、とんでもなく格好良かったです。凄い人を好きになっちゃったな。