風向きが変わったとき

テレビ朝日系「アメトーーク!B’z芸人」2018年3月22日放送決定!!
アメトーーク初のB’z芸人の放送が決定しました。どんなお宝が登場し、どんなトークが繰り広げられているのか?!どうぞお見逃しなく!
放送日時:2018年3月22日(木)23:15〜

ブラマヨ小杉さんのツイートでフライング告知がありましたが、公式でもようやくお知らせが来ました。

正直なところ・・・感慨深い。2018年、B'zを取り巻く環境がこんな状態になっているとは夢にも思っていませんでした。ちょっとだけ昔話をさせてください。


私がファンになった2000年代初めの頃、B'zに対する世間の風当たりはとても強かった。とてもとても強かった。
CDが売れれば「ファンの姿が見えない」「不気味だ」と言われた。ライブが良いんだと言えば「洋楽のパクリバンド」「稲葉の顔目当て」と言われた。ホンモノの音楽を分かっていない素人が喜ぶ売れ線狙いの「商業ロック」当時もB'zのふたりの姿勢は今とほとんど変わらない、ただ黙々と楽曲製作とライブをする。誰の悪口も言わず、淡々と音楽に向かうB'zに対して世界は悪意に満ちていた。

フェスに出れば「あの日本人アーティストの時に食事に行こう」と揶揄されて、挙句の果てに火災報知機ならされて逮捕者が出る。アルバムが発売したらファンの掲示板に「今回のアルバムは最悪です」と大手芸能事務所のIPから書き込まれる。雑誌やライブのMCで名指しで馬鹿にされたり批判されるのは別に珍しいことでも無く、個人的に一番腹が立ったというか、悲しかったのは永遠の翼の時のMステかな。ああいう大人のイジメみたいなものが普通に起こっていた。一応ご本人は否定してるけれど土壌として「下司なPleasure」「木偶のTreasure」って言われててもしょうがない・・・「だってB'zでしょ?」みたいな空気があった。

例えば2001年に出版されたコレ。これ最近ファンになった人が読んだら笑っちゃうと思うんだけど、当時の様子を伝えるという意味において貴重な資料(下衆な週刊誌みたいに読まないとダメw)ちょっとだけ抜粋すると

音楽誌が書かないJポップ批評 まるごとB’z大全 (宝島社文庫)

音楽誌が書かないJポップ批評 まるごとB’z大全 (宝島社文庫)

「俺にとってB'zの音をBGMに暮らすということは、ディスカウント家具のカラーボックスだらけの部屋で暮らすような感覚に近い。シリアスさや趣味の良さを目的化しない、「読み捨てマンガ」ならぬ「歌い捨て音楽」(P.111)

このコラムの表題「B'zと90年代の産業ロック」・・・ここ笑うところですかね?Call me a dinosaur!!!

もともとほとんどTVに出ない人たちだったし、何を言われても決して言い返さない彼らは良い標的だった。当時は今よりもマスメディアがずっと力を持っていて、まだまだインターネットは限られた世代の限られた時間帯だけのものだったし、更に自ら発信するのはもっと限られた人だけだった。前にもちょっと呟いたけれど、だから私はBrotherっていう言葉を今後もたぶん使わない。ムラ意識を持つことへの漠然とした危機感があるから。そう、言ってみれば我々は隠れキリシタンならぬ「隠れB'zファン世代」いちいち説明するのがメンドクサイし、腹が立っても敵がいなけりゃを聞きながら溜飲を下げる。「口に出せないぐらい好き、とか簡単に名前が出せないぐらい大事、とか。そういったことが人間にはある。」という気持ち。いや、ただ単純にどうでもいいなって気持ちが強かっただけかも←

この前の音楽と人*1のインタビューで松本さんが「世間のイメージと自分の持つB'zのイメージがズレていた時期があった」って発言があるのですが(ちなみにいつかは明確に答えてくれてない)、私が「B'z大丈夫かな?」という感情を抱いていたのは2005年前後。スポーツのタイアップが続いて、Pleasure IIのリリースやらライブの演出スタッフ総入れ替えやらがあったころ。思い返せば、あの辺りはちょっと揺らいでいた気がする。揺らぐというか、諦めじゃないけれどこのまま行くんだろうなーっていう。


そんなB'zに対する風向きが変わったとき。それは20周年の時だと思う。
ひとつの大きな転機となったのがNHKの密着ドキュメント「メガヒットの秘密」今振り返るとやっぱりあの番組の反響は大きかった。
地上波でツアーのリハーサルや楽曲製作の様子が流れたのも画期的だったし、松本さんが「売れることは大事」と言葉にしたことも大きかった。稲葉さんの今も言われ続けるストイック話も(笑)既に2008年にはズブズブのファンだった私には満身創痍な姿が衝撃的だったけれど、それまで世間とあった隔たりみたいなものがちょっとだけ埋まったような気がする。たったひとつの番組で。スタイリストがプロになったこと、定期的にヒット曲に恵まれたこと、松本さんがグラミー賞を受賞したこと、いろいろなことが重なってちょっとづつ良い方向に変わってきた10年だった。

去年はまさかロックインジャパンでトリを務める日が来るとは思わなかった。今年はまさかアメトークでB'zが取り上げられる日が来るとは思わなかった。こうやって、30周年をお祝いできることを心から嬉しく思う。見たことがない景色を見せてもらっているのは私の方なのかもしれない。

*1: