cocoaが好きすぎる話
cocoaという曲は、私にとってすごく重要で象徴的な楽曲であります。
Koshi Inaba LIVE 2010~en 2~ [Blu-ray]
- アーティスト: 稲葉浩志
- 出版社/メーカー: VERMILLION RECORDS
- 発売日: 2011/02/16
- メディア: Blu-ray
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分かんないことだらけ みんな嘘付くから でもその気持ちもわかる かく言う僕もかなりのイカサマ野郎なんです。
温かいココアのカップから 立ちのぼる香りが今唯一信用出来るものだ さぁ、ひとくちすすったら眠ろう。
この出だしがパーフェクトライフに出てきた主人公と被る話は随分と前に一度書いたのですが、この曲でポイントになるのは題名にもなっているココア。といっても、飲み物が小道具として使われるのは別に珍しいことではありません。喫茶店で友達と話している彼女はミルクティー*1、余裕たっぷりの君は大人びたアイスレモンティー*2、フライデーを読みながら人の不幸を探している私には渋いお茶*3だったり今までも多くの楽曲で、さりげなくしかし雄弁に登場人物を彩っていました。Tonightのふたりがワインじゃなくて焼酎飲んでたらなんか違うし、彼女がいつもミニチョコサンデー頼んでた日にゃ喫茶店じゃなくてデニーズになっちゃうw
なんにも知らないで愛し合っては 人はまだまだ謎だらけ
良い嘘 悪い嘘 僕に聞かせて 君の言葉なら良いよ
とりあえずこの1番で「君」と「僕」の間になんらかの事情があることが推測され*4、
続く2番で彼らの詳細が説明される・・・・と思いきや続くのはこんな歌詞。
良くできた噂で 早まって爆弾落として
後に引けなくても 誰も本当のことは言わないに決まってる。
まるで、雨だれぶるーずのような曲だなぁと第一印象では感じました*5。
そして、サビの部分が対になったことで、すごく収まりが良くなりました。
なんにも知らないで殴りあっては 野次馬たちは手を叩く
良い嘘 悪い嘘 勝手にしやがれ 君が電話に出ないのは何故?
個人の対立も国同士の対立も本質的には同じものなのではないかと、嘘も真実も本当はあやふやで不確かなものなんじゃないかと、そんな不思議な気持ちになり。ひとつのテーブルの上で始まった映像がグーグルマップみたいにぐっと引いて地球まで広がるような、スケールの大きさを感じます。マクロとミクロ、それが小説や映画ではなくあくまで歌としてたった3分程度の世界として成立していることに思わず唸る。
もともと、稲葉さんの歌詞において様々なものを「恋愛」に例える手法は本人も自覚があるぐらい一般的な方法。
稲「恋愛と全然関係ないシチュエーションを、僕の場合はすぐ恋愛に置き換えたくなってしまう。」(1997年)
恋愛をバブルに見立てたUBUなんかはその典型ですが、・・・今日はcocoaに話を戻しましょう。
タイトルを知ったのはだいぶ経ってからで「ずいぶん可愛いタイトルをつけたもんだな」と思いましたが、この曲はcocoaでなければならなかった。この曲でココアは彼女を修飾する小道具としてではなくテーマそのもの。それが分かるのがこの最後のフレーズ。
知りたいくせに 怖くて聞けない ヤケドしそうな本当の気持ち
時に甘ったるく 時に苦々しい テーブルの上に置かれた真実
完璧。
いや、思わず文字を大きくしちゃうぐらい、パーフェクト!!
今までゆるぎないものであった三大稲ソロソング、静かな雨・炎・この手をとって走りだして*6が揺らぎそうな勢い。それぐらい大好きな曲になる予感がする。というか、既に好きすぎる。蛇足になりますが、この曲は五感を刺激してくるのも良いなぁーと思います。温かいカップや立ち上る香り、そして甘さと苦み・・・・視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚を刺激する素敵な1曲。もうこの曲の構成も歌詞も、少しだけ低めの歌声も含めた全てが好きで好きでしょうがない。というだけの日記でした。
はやく正式に音源化しないかな。
…と言い続けてはや3年。