困ってるひと
人間は自分の主観のなかでしか、自分の感覚の世界でしか生きられない。
- 作者: 大野更紗
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2011/06/15
- メディア: 単行本
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内容は色々なところで散々書かれていると思いますが・・・ビルマの難民問題を大学院で専攻していたビルマ女子がある日突然、自己免疫系疾患、いわゆる難病にかかり文字通り難民となってこの国、日本を生きてゆく過剰にリアルなノンフィクション。1984年生まれというと自分とそんなに年齢が変わらないはずなのになんて強いヒトなのだろう。「絶望はしない」と言いきれる強さが自分にあるのかと問われるとゴニョゴニョ語尾を濁したくなります。果たして、そんなにも強く生きることへ執着できるんだろうか私は。
結構厚みがある本でしかも内容が内容なのに、読み進めるのが苦痛にならないのは、その時々の感情がとても素直に率直に書かれているから。病と向き合いながらも素晴らしい出会いに感謝したり、ユーモラスに笑い飛ばしたり、逆に終わりの見えない治療に鬱々とどん底まで落ち込んだり。人を頼り過ぎてると反省したり、信頼しすぎた人の心無い一言に深く傷ついたり、恋をしたり。体験型ルポタージュというと失礼だと思うけど(だって望んだ訳じゃない)自分で調べる力のある自立した若者は、行政や病院のありかたや理想と現実までも自分の意見をしっかりと持ったまま切りこんでいくんだから、そりゃースリリング。
健康は宝だと思うと同時に*2、
困ってるひとが少しでも困らなくてすむような制度や社会を作ってゆくことが必要。それも早急に。と思った読書。