狼の群れと暮らした男
狼男の自伝。
- 作者: ショーンエリス,ペニージューノ,小牟田康彦
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 単行本
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とんでもない人生を歩む人ってどの国にもどの時代にもいるもんだけど、そのなかでもかなりトップレベルのとんでもなさ。紙一重。簡単にまとめるとこんな感じ→イギリスの極貧家庭に幼少期を過ごす、軍隊で精神と肉体を鍛え上げられる、狼に惹かれお金も人脈もないままアイダホのネイティブ・アメリカンが運営する狼研究センターへ転がり込み、研究施設の狼たちをもっと知るために周りにキチガイ扱いされながらも檻の中へGO、まさに体当たりで彼らのルールを学ぶ、野生の狼と接触をもとめロッキー山脈へ・・・・もうこの時点でいろいろとオカシイ。主食生肉だし、内臓も食べるし、狼から施しを受けるし←!
しかしながら、割とナイーブな内面(今後俺どうすんだーみたいな焦燥感)がリアルに描写されているのでそんなに突拍子もないことのように思わない、行き詰まり感のある人*1が読んだらポジティブな気持ちになりそう。
そのあとも狼たちと人間のよりよい関係の構築のために邁進するわけですが、この後も波乱万事、悲喜こもごも。
- 作者: Shaun Ellis,Penny Junor
- 出版社/メーカー: Broadway Books
- 発売日: 2010/10/05
- メディア: ペーパーバック
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下の映像みてもらうのが手っ取り早いと思いますが、狼への接し方はムツゴロウさん的な感じ。
動物は体全体を使ってコミュニケーションをとっています。だから犬と付き合う人間だって体の全てを利用した方が犬には理解されやすいのです。(畑正憲/ムツゴロウの犬巡り)*2
あ、犬のことに触れられてる章もあるんだけどここは話半分に。クロコダイルハンターが専門外のことに手を出して事故死したことに触れられてたんだけど、まさにそんな*3感じ。そもそも極めてプリミティブな柴犬*4と動物学者テンプル・グランディン曰く奇妙なまでの鈍感さを持ち合わせたラブラドール*5をすべてまとめて「犬」というくくりに入れてしまうのは結構乱暴な話だと思う。この本に限らずね。*6
それでも、狼の群れの中から観察ということ自体他の誰にも出来ないことだよなー。遠吠えの研究も興味深いけど、特にパック理論。ここ10年でアルファの意味は色々変わったけど、これから先もっとどんどん変わってゆくのかと思うとワクワクするね!そして「狼は人間の手で育てられても人の顔をよむ能力を会得しない」という事実を重ねて読むと犬という動物にますます愛着を持つのです。
今回この動画見て自分は犬に対して言葉に頼りすぎかなーと戒め。
あとこれは蛇足ですが、彼の女性遍歴がめまぐるしくてそこがむしろ気になるw一つ一つのミッションが時間がかかるからそれは分かるんだけど「彼女は素晴らしいパートナーで人間的にもサイコー!」→狼研究→「このころから私と彼女の間に隔たりが・・・」みたいに相方がコロコロ変わって覚えられない(しかも子供も増えてゆく!)なんでそんなにモテモテなのよ〜と思ったりもしたのだけれど、一人で喰っていける本当の意味でのワイルドさは女の本能に訴えかけるのかしらん。なんてね。
ヴェルナー・フロイントの本より写真が少ないのでその点は残念。そういえばこの人も軍隊出身だったなーブレニンと暮らしたマーク・ローランズはラグビーやってたし、やっぱり野生動物の、生の動物である狼相手ではフィジカルでもメンタルでもタフさが求められるのかも。
- 作者: ヴェルナーフロイント,日高敏隆,Werner Freund,今泉みね子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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人間生きていこうという意思さえ強ければ、どうだって生きていけるんだなぁ。
*1:内定貰えない人とか・・・このヒトほどどん底じゃないわーって思える
*2:私の好きなムツさんの言葉
*3:軍用犬の訓練してても結局はこの人の専門は狼なんだから犬一筋の専門家の方が説得力あるわけで。
*4:別名ベイシック。ハスキーとかもね
*5:これは別にラブをディスってるわけじゃなくて、ラブラドールの遺伝子的な性質の不自然さ。「恐怖心があまりなく攻撃性が低く社会性が高い。これは正常な組み合わせではない。」
*6:まぁこの本のメインは狼なので犬のことはそんなに書いてなんだけども