THIS IS IT

ひどく悔しい気持ちになる。

私がマイケル・ジャクソンを認識したとき、既に彼は奇人変人だった。もちろん、ダンスと歌で凄い人気だったのは知識としては知ってるし、彼の熱狂的なファンを見ていれば自然と分かる。でもやっぱりマイケルジャクソンと言ったら見るたびに顔が変わって、お店を貸し切りで買い物をして、時々ワイドショーの騒ぎになるような奇行をし、そしてよく訴えられていたイメージ。

が、このリハ繋ぎ合わせ映像のマイケル・ジャクソンはやっぱりエンターテイナーとしてプロフェッショナルだったんだなぁ。ってのが嫌でも伝わる映画でした。というか制作陣の意地にも近いプライド。
引き込まれる視覚効果にド派手な演出、拍手や歓声のタイミングまで視野に入れた、でも開催されなかったコンサート。そのまま2週目「マイケルと共演出来るなんて夢のようだ!」と無邪気にはしゃぐダンサーたちを見て「なんであんた死んじゃってんのよ」と誰に向けていいか分からない悔しさでいっぱいになる。

やっぱりコンサートは客が入って、ナンボなのだ。

そこに至る過程がどんなに完璧でも、コンサートのもつ熱狂はそこにしかないんだ。なんて曲か知らないけど、客席で手を左右に振る嬉しそうなスタッフに、そこにあるはずのない埋め尽くされた客席を連想して、ふと そんな事を思う。