鬼束ちひろのコンサートに行ってきた。

再びこの題名で日記が書ける日がくるとは夢にも思っておりませんでした。

2017年7月18日 Zepp DiverCity TOKYO
鬼束さんのコンサートへ行くのはこれで4度目になります。
2011年→鬼束ちひろのコンサートに行ってきた。 - 本当に自由な休日
2013年→鬼束ちひろのコンサートに行ってきた。 - 本当に自由な休日
2014年→鬼束ちひろのコンサートに行ってきた。 - 本当に自由な休日
4度目の正直!

これらの文章をお読み頂けますと分かるように、私の立ち位置としては無駄に長くは聞いてはきているけれどもファンクラブに入ったりラジオや雑誌を欠かさずチェックしているわけでもない、割とライトなファンというポジションでございます。月光からCDは聞いているけれども、ライブに行くようになってからは既にあの状態になっていて、過去を振り返ってもしょうがないと頭で理解しつつも・・・うん。まぁゴニョゴニョ。

フォーラムで「はい?」となり、中野で(免疫ができたからか)「これもありなのかも」と思い、品川で「やっぱりこれは無理だ」となってはやいもので3年。
最近では昔の曲やDVDとも疎遠になっておりました。だって聞いていると「なぜ?」と思わずにいられないんだもん。そんな折、TVで月光を歌う(B'zの話をしていたのでブルーレイの単語検索で引っかかったぽい)鬼束氏と久々に再会。おや?しっかり歌っている。この前のシングルもなかなか良い感触だったし、そろそろまた聴きに行ってみようかね・・・と思ったのにそのままうっかりと一般発売を忘れ、思い出した頃にちょうど追加公演が受付中だったのでそのまま申し込んだらあっさりと取れたのが千秋楽のゼップダイバーシティ。楽しみ半分、怖さ半分で当日を迎えました。

ゲリラ豪雨襲来で山手線が止まるほどでしたが、早めに出発したのが幸いして問題なく現地到着。フードコートで豪遊してから入場。ワンドリンクは終演後にする。ダイバーシティの座席ありは初めて。ちょうどまんなかぐらいで一段高くなってて助かる、すごく見やすいど真ん中の席。男女比は半々ぐらい・・・やや男性の方が多いかな。一人参加の方も多い。年齢層は見事にバラバラ、平均年齢としては40代ぐらいが多め。落ち着いた感じ。ステージには布とグランドピアノが1台。

この人のコンサートは本当に出てくるまで気が気じゃない。たっぷり10分押しで登場。

レポじゃなくて感想文。

  • 謎のロングスカートとドロンジョみたいなアームカバー。
  • しょっぱな声が出た瞬間に「おぉ!」ちゃんと歌っている!と嬉しくなりました。
  • 私が見たかった聴きたかった鬼束ちひろがそこに居た。前のような透き通るような伸びやかな高音はなくなってしまったけれど、でもしっかりと自分の歌を届けようとしていた。*1
  • 新しいアルバムは買ってなかったから勉強不足は否めないのに「あぁ、鬼束ちひろだな」と思ったのが、思えたのが嬉しかった。
  • ステージは布・伴奏はピアノだけのどシンプル。
  • BORDERLINEあたりからは完全に雑念を捨てステージに魅入られる。
  • 私、この人の声が好きだったんだという当たり前のことを久しぶりに思い出した。
  • 蛍とかマジで涙腺にきてうるうるしていたら後ろの席から震えるため息みたいなものが聞こえる(多分相当泣いてる)
  • 本当に客席が微動だにしないんだよね鬼束ライブ。
  • 左手のフリはあまり変わらずw好きなんだろうなああいうの。
  • MC無く突っ走る
  • 眩暈のラスト、上手側の客席前方でなんかトラブル?倒れたかなんかした人が居たようでピアノのアウトロ時に「だいじょうぶ?」と優しく問いかける鬼束氏。
  • ぶっちゃけそれ聞いて「お前がなっ!」と心の中で思ったりもしたのですが、後々考えるとコレすごい。
  • 大丈夫?って言われてた側から言う側へ変わったんだ・・・(´;ω;`)ウッ…
  • で、月光。
  • 長くなるので下にまとめるw
  • この月光→MC→火の鳥→エンディングの流れが完璧すぎて。
  • 「次が最後の曲です。ここにいる方は・・・私が色々あったときも支えて下さった方が沢山いらっしゃると思います。みんなに捧げます。」
  • 鬼束氏の朴訥とした喋り方がまた・・・
  • この「捧げます」からの火の鳥(初聞き)でもう涙腺崩壊。
  • むっちゃくちゃ優しい歌い方でさ・・・
  • 1番終わったら客席から拍手が発生して、それも暖かくてさ・・・
  • サビのところで左手でそっと背中を押すようにしててさ・・・
  • 火の鳥って不死鳥って意味もあるとか思ったらさ・・・
  • あ、最後の歌詞「あなたに響け」って歌ってたような気がするんだよね。響いてる(泣)と思いながら聴いてたから。
  • ラスト、感極まって泣き出す鬼束「10年間、ツアーが怖くて逃げてきました・・・今日ここに立てたのはみんなのおかげです。本当にありがとうございました。」
  • ポツポツと人が立ち始め、最後はスタンディングオベーション
  • 本人もここに至るまでしんどかったと思うんだけど、きっとファンも同じように苦しくて辛かった。だから最後のあの晴れやかな表情を見ていたらミュージシャンとか憧れの存在というよりは、戦友のような妙な連帯感を覚えた。
  • ツアーの完走にあたって精神的にも体力的にも大変だったを鬼束を24時間体制で支えてくれた看護婦さん?(17年来のファン)を紹介。
  • マジでちえちゃんありがとう!
  • 泣いて笑ってガッツポーズして退場。

ツイッターの方でも書いたけれど、あんなに丁寧に大事そうに月光を歌う鬼束ちひろをみたのは初めてでした。
この曲で一気に認知され彼女のイメージ像みたいなものが固まって、月光でファンになった私が言うのもなんだけど「月光の鬼束ちひろ」という虚像に苦しめられていたんだろうなと思った。月光は曲としてすごく恵まれた曲で、トリックというタイアップも良かったし、いろいろなタイミングがあってヒットした*2。名前だってそうだよね、最初はオニツカってすげーインパクトある名前だなーって思ったもの。容姿も端麗で、ちょっと影のあるミステリアスな感じも良かった。ヒット曲・代表曲があることは本来喜ぶべきことで、それを願っても1曲も手に入れられない人も沢山いて贅沢な悩みと言えばそうなんだけれど。
でも、ああいう清楚なイメージ嫌だったんだろうなー。だから、それをぶっ壊そうともがいているみたいな日々だったような気がする。どこまでついて来れるかのチキンレースは「こんなんでも好きって言えるの?」と楽曲を痛めつけてるみたいだった。殴りつけてる自分も血を流しながら。20歳そこそこの女の子に対して天下のNHKが「神が舞い降りる瞬間」ってタイトルでドキュメンタリー撮って違和感無いぐらいだったんだもの、そりゃ荷が重いわ*3

それを経て、帰ってきた感じ。散々言われている「復活」という言葉よりは生まれ変わったような。孤高の天才シンガーは居なくなってしまったかもしれない。でもだからこそ、これからどんな歌を歌うのか楽しみ。そして、ながいこと封印していたCDやDVDを聞けるのが嬉しい。
たぶん、このハッピーエンド感は今までの日々があったからだと思うんだけれど、本当にベタなストーリーだとは思うんだけれど*4、それでも・・・


おかえりなさい、鬼束ちひろ。私は貴女を諦めないで良かった。

*1:今までの経験から散々ハードルが下がってるのは承知してる。

*2:楽曲の完成度の高さが前提にあるのは言わずもがな

*3:そう思うとファンって存在は難しい。17年支え、支えられたのもファンだけれど、期待をかけたのもまた同じファンな訳で。

*4:普通にファンでもなんでもない人が見たら普通の・・・むしろ前より声出てねーなーぐらいのライブだったと思うw