賢者はベンチで思索する

そう、焦らなくても、人生は長い。

賢者はベンチで思索する (文春文庫)

賢者はベンチで思索する (文春文庫)

この前読んだ本の一作目ってことなんだけど、私の場合2作目から読めて良かったような気がする。

どのような性質であれ、動物が虐待されたり殺される話がどうも苦手で、ドルジの謎が分かってスッキリ!って事実よりもその前の分かりあえない底知れない恐怖から抜け出せなくなってしまうタイプだからか。あ、アヒルと鴨の話ね。

そんな訳でミスリードにも引っかからず。

ミステリーとしては動悸が軟弱で、そういう意味での謎を究明する面白さとしてはイマイチなんだけど。こののほほんとした空気は和むなぁ。凡庸なんだけど登場人物達もみんな素敵で、文章も読みやすいから一気読み出来るところも良い。本質がナゾトキじゃなくて対自分の関係がメインだからなのかな。対社会、対他人、対家族。

最後の余韻がとても爽やかでした。

神様は、寂しいとき、こうやって寄り添って生きるように、犬と人を作ったのに違いない。そう久里子は考えた。でなければ、悲しいときの犬の声と、人の声がこんなに似ているはずはないから。

保護犬が出てくるのは大きく評価できるけど、ブリーダーのハシゴはマナー違反よ。

あと、内容に対して題名があまり宜しくないと思う。