死神の精度

はじまりはいつも雨

Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]

Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]

原作が伊坂イズム爆発って感じの作品だったので怖いもの見たさでレンタル。
ルール縛りの複線系なのでどうやって仕掛けてくるか楽しみであり怖くもあり。のべつまくなし人に会うたびにお勧めする名作とはとても言えないけど原作のもつミステリーとファンタジーの雰囲気を壊さないよう頑張って作ったなぁと。前に見たアヒルと鴨よりは成功していたと思います。

  1. 死神は7日前に対象者に接近し「実行」か「見送り」を決める。
  2. 死神は死なない。
  3. 死神に素手で触れると寿命が一年縮まり気を失う。
  4. 死神はなぜか県や町の名前を持つ。(主人公は千葉)
  5. 死神は電波を拾うことができる。
  6. 死神はなぜか音楽(彼らはミュージックと呼ぶ)が好き。

映画では出てこなかったルールもあり。

カラスの暗示とかは若干不自然だったけど映像だからこそ出来たことだと思います、一番の違いは上司の犬を出したところかな。GODの反対でDOG、しかも黒い犬。フラットコーテッドレトリーバー。この犬種らしさの永遠のピーターパンと呼ばれる無邪気さは全く出さずにただそこにいて会話をする(字幕でね)フラットは飾り毛が優雅なので可愛いというより美しく精悍なところが金城武とあっていた。たぶん口を閉じてキリっとした顔だったからかな。死神のルールを観客に伝えるのはこの犬とオープニングの教会のシーンで、とても自然にこの物語の世界感へ導入していたと思います。
過去・現在・未来と時系列で話が進んでいって、美術さんは地味だけどいい仕事していました。特に過去は会社の制服と言い、並んだ電話ボックスや8センチのCDが細かいところが凄く凝っていた。その分未来の描写がロボット位であまり現在と代わり映えがしなかったのが際立っちゃったんだけど・・・

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)


金城武の七変化は見ていて面白かった〜演技力というか、伊坂作品の主人公の持つ漂々とした感じがとても役にあっていてヤクザから絵描きまで見事な演じ分け。髪型というか前髪で全然印象が違くて驚いた。年齢不詳なところがぴったり、そして音楽を聴いて左右に揺れてるのが可愛かったです

どうしても原作を先に読んでいると「あぁーコレとコレを繋げたかー」とか「ココはこうするのか」なんて見方をしてしまうので先に本を読まずに映画を観た人の感想が気になるところ。あと、やっぱりもともとは6編の短編集なので深夜ドラマとしてもうちょっと時間をたっぷり使って作ったら凄く良いものになったのに惜しいなぁと思ってしまった。オリジナルが一本あれば違ったんだろうけど、どうしても物語の繋ぎの部分で集中力が途切れてしまうのでそこだけ残念でした。
ラストはとても爽やかな気持ちになれて複線のオチも実際は大したことがないんだけど、読み手を引きつける魅力ある設定だと思います。もう雨男の死神って時点でノックアウト。

小西真奈美金城武のキャスティングだったからこその映画なのかもしれない。
昔はこういう売り方のCDとか多かったんだけど、そんなに話題にならなかったですね・・・歌的には柴咲コウのような王道J−POP。劇中歌として美味しいところに使われています。