ソロモンの犬

もしも言葉が喋れたら、忠実な犬は真実を語ってくれるのだろうか?

ソロモンの犬 (文春文庫)

ソロモンの犬 (文春文庫)


一応ミステリなんでご注意を。


ネタバレと毒に。


犬に引きずられて事故死した少年をめぐる(一応)ミステリー。
印象としては奥田英朗のインザプールのコミカルさを伊坂幸太郎の砂漠の世界観に持ってきたような。

もうホントにラノベ的なノリなのでサクサク読める。がその軽さと少年の事故死という主題の重さが全く釣り合っていないように感じた。簡単に人が死に過ぎていて感情移入できず薄っぺらい。なんだろう、登場人物*1にあまり好感を持てなかったのが原因かな?子供と犬は良かったんだけど。非常にシリアスな場面でくっだらない冗談が入っていたりミステリーとしては完全に方向性を見失ってた。かといって青春小説としては非常に中途半端でこんな仲間嫌だなぁと思いながら読んでた。

まさかの夢落ちっ?!という異常なハラハラ感の後では、ミステリーの禁じ手破りも大目にみてしまう。*2・・・最後もなんだかうやむやな終わり方で中途半端、あの手法を使うなら貫井徳郎の慟哭位後味が悪くないとねぇ。犬好きとしては、やっぱりあのオチは無理があるよ*3襲撃訓練でもやってない限りは。

犬ミステリと言えばこちらがよろしいけれど

ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)

ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)

こんなのばっかり読んでたら体が持たないからね。たまにはスナック菓子みたいなものも食べたくなるってコトで。

一生懸命トリック考えましたよ!かっちりパズルみたいにはめてきますよ!っていう机上の空論度が極めて高いミステリー。ミステリーなんてジャンルの時点でフィクションなんだから、どうやってリアリティを出してゆくかが勝負なのにな。

ただ、読みやすさとしてはマンガ並みなので、私の中でソロモンの犬は「犬が出てくるラノベ
読む前の期待度が大きすぎたのかもしれない。

*1:含、主人公

*2:いや、そんなんでハードル下げてどうすんよ

*3:それ以前に柴犬程度の大きさの設定で無理がある、せめてラブラドール位のサイズならまだわかるんだけど