遠いアメリカ

希望と失望に遊ばれて

遠いアメリカ (講談社文庫)

遠いアメリカ (講談社文庫)

舞台背景はそりゃあ古い、ピッツァ(トマト、チーズ、肉、アンチョビなどをパン粉にまぜ、香料で香りをつけて焼いた平たい大型のタルト)が想像できないくらい古い。昭和30年代。
存在するのに実在しないアメリカに思いをはせた黒い青春小説
やりたい事が無い訳ではなく、やりたい事が大きすぎてそのうえ自分が未熟で。はたして自分でできるのかわからない。躁と鬱が交互にやってくる宙ぶらりんな自分に対しての焦燥感はいつの時代も共通のものなんですね。「親のスネをかじりながら時間だけがあった」とか「みずみずしい未来が干からびてゆく」ような歌を文章にするとこういう本になるのだろうな。

3章に分かれていて(父親・母親・恋人)全ての章で繰り返されるペーパーバックに対する愛憎*1がこの本をブックオフの100円コーナーからサルベージwしてきた自分と重なってなんだかほろ苦い気分になりました。

*1:安くて汚いペーパーバックの中にアメリカが詰まっているけど両親からはごみにしか見えない