狼が連れだって走る月

旅の随筆。

狼が連れだって走る月 (河出文庫)

狼が連れだって走る月 (河出文庫)

旅についての文章を読んでいるはずが、そのままこの本自体が旅をするように主題を変えてゆく。
ハワイへ行ったかと思へばメキシコへ、アラスカへ。国について、チカーノについて、民族について、歴史について、地球について、本の評論になったかと思えば、次は伝承の話へ、どこまで行っても人が居るのは著者管啓次郎の人類に対する好奇心と愛のなせる技なのかも ・・・ホワイトサンズ*1出てきてちょっと嬉しい。

オプションの多さは我々の強迫観念だ、それが多ければ多いほどいいと誰もが思っている。より多くの金を出してわれわれは選択権を買う。物の消費や使用自体よりもはるかに選択権の行使が快感をもたらす。
これは例えば極限的に少ない資源を最大に有効に使って暮らしてきたイヌイットの人たちとは正反対の人生だ。商品の森を生息地として生きるとき土地への責任なんて、もうわれわれの誰もが思い浮かべることさえしない。

題名もそうなんだけど、要はカッコイイ!

改めて読むと、昔の自分はずいぶんと小難しい本を読んでたんだと感心しちゃう。いや読んだだけで理解してたかすらあやしい、背伸びしてたのかな。どうなんだろな。思へばアメリカという国に対する私にとっての「遠いアメリカ」はここからスタートしたのかもしれない。
ロマンチズム溢れる小粋な読書、アメリカ行く前に読み返せは良かったのにねぇー。

*1:って今変換したらwhite三途って出てきたwwご存じokayのPVロケ地