セーヌの川辺

セーヌの川辺 (集英社文庫)

セーヌの川辺 (集英社文庫)

作家の池澤夏樹がフランス在住時に考えていたこと。2年半分のエッセイというか随筆というべきか。書かれたのが2005年なので時事問題では古さを感じるものもありますが、今も続いている問題もあり。相変わらず理屈っぽいのに、そこがまた魅力だったりする。雑誌の連載だからしょうがないんだけれど、全体的にいろんな問題を取り扱い突き詰めずにサラッとしているから読みやすい(が、そのぶん人によっては物足りないかも)。
フランスという視点から比較して眺める日本、ディズニーランドを宗教&工学から見てみたり、アリステアマクラウドが出て来て嬉しかったり。最終章では縁があるのかボートの3人男を彷彿とさせるセーヌ川を船で行く話、閘門なんて言葉そんな使わないって!私は自分が興味あることは調べるけど、逆に興味が無いことは平気でスルーしちゃうタイプだからどうしたらこんなに幅広いジャンルに興味が沸くのか凄く知りたい。知的好奇心を刺激する本。
この人とか米原万里の本を読んでいると、より広く世界を捉え、より深く自分のアタマで考えなければならんと思う。