そして生活はつづく

意味なんかないさ暮らしがあるだけ ただ腹を空かして君のもとへ帰るんだ

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

Mステスーパーライブにて堂々の9時跨ぎで恋ダンスを踊る星野源を見ていたら、こういう旬な感じというか上昇気流ってすげーなとしみじみ思った。昨年の紅白がピークになるかとすっかり騙されておりました。ミュージシャン・俳優・文筆家・・・もはや死語のマルチという言葉を使いたくなるアーティスト。そんな人のウルトラ庶民的なおバカなエッセイ。

仕事を詰め込み過ぎ、過労で倒れた星野源は実家の母親に助けを求める。

「つらいよ゛う。過労でだおれたよ゛う」
と言い、涙を流しながら母親の手を握った。情けない。
〜(中略)〜
すると母親は、半笑いで言った。
「過労?・・・・・ああ。あんた、生活嫌いだからね」
「え?」
「掃除とか洗濯とかそういう毎日の地味な生活を大事にしないでしょあんた。だからそういうことになるの」
なんだかわからんがその通りだ、と朦朧とした頭で思った。
私は生活が嫌いだったのだ。できれば現実的な生活なんか見たくない。ただ仕事を頑張っていれば自分は変われるんだと思い込もうとしていた。でも、そこで生活を置いてきぼりにすることは、もう一人の自分を置いてきぼりにすることと同じだったのだ。(P28)

ここだけ引用するとなんだか真面目な内容に思えますが、内容はかなりおバカ*1。サクッと読める面白くてくっだらないエッセイ、やたら愉快なご両親やら二足の草鞋を履く理由、そしてコンプレックスを武器にしていくその心意気。そうか私も生活が苦手だったんか!と共感しながら、洗面台ビシャ男よりはマシだわと安堵し、製作者のためにちゃんと新品を定価で購入する姿に感心する。ダメな部分とシッカリした部分が絶妙なバランスで成り立つ。
仕事はきっちりやらねばならぬプレッシャーがあるのに、家に帰った途端どうでもよくなる。働いてる時の1時間は分単位でこなしてるのに、休日に目的もなくネットサーフィンしてると本当にダメ人間wそういう方に*2オススメ。町田康とかそういう系統好きな方にぜひともオススメ。ヒラマサさんを求める方は読んじゃ駄目w

「なにげない日常」の中には「なにげない日常」しかない(p203)

面白き事もなき世を面白く すみなすものは心なりけり・・・そういう訳で、何でもない日おめでとう!

*1:チソチソとウンニョの話多いwいくつだオマエww

*2:っていうか私か←