毛玉ストラップ

毛玉ストラップのはなし。

ツアーグッズというのは、コンサートに行った際の「記念品」で、さらにそれを身につけることによって「所属」を表すアイテムだと思う。野球やサッカーで言ったらユニフォームみたいな。
マンウィズの名物アイテムだった「毛玉ストラップ」について。「頭はオオカミ 体は人間」というインパクトある外見のマンウィズにとって、この毛玉はアーティストとしてのイメージ×震災復興×ファーのボンボンという可愛さの相乗効果によって、とても人気のある看板商品になったのよね。

私が毛玉ストラップの存在を知ったのはWELCOME TO THE NEWWORLDの帯だったかな。

前売りのチケ代2000円だって!
ツアーグッズとして使えるうえに被災地支援にもなる。ピックの色も毎回変わるからコレクターズアイテムとしても最適!…な毛玉ですが、このモコモコの毛玉が増えると同時にジレンマを抱えるようにもなりました。それはこの毛玉がリアルファーだということ。
動物との付き合い方は人それぞれの尺度があると思うので、ここで他の人に対してどうこう口出しをするつもりも無いのですが、犬好きから派生して狼好き、動物が好きな私にとってリアルファーというのは出来れば自ら進んでは購入したくないもの。肉を食べてるじゃないか、革は使ってるじゃないかと突き詰めてゆくと色々な矛盾があることを承知の上で言えば、ファッションの為に使われる動物の毛皮に抵抗感がある。それが肉の後の二次加工品であったとしても。これはあくまで感覚的なものなので、言葉で説明しにくいのですが。

それは、狼の歴史が毛皮と切っても切れないものだということも影響していると思う。

Romeo: The Story of an Alaskan Wolf

Romeo: The Story of an Alaskan Wolf

アラスカの田舎町に現れた野性のオオカミ、ロミオ。犬とじゃれて遊んだりする友好的で町のマスコットのような存在だった彼の最期はあまりにも悲しい。この美しい黒い狼は、逮捕された密猟者の家から毛皮となって見つかりました*1
合法な行為として、現在も狼狩りは行われています。youtubeでWOLF HUNTと検索すれば、大きな狼の死体と共にドヤ顔のハンターの写真を見る事が出来る。(わざわざここに貼るような悪趣味な真似はしませんが、ご覧になる方は結構刺激が強いと思うので自己判断でお願いします)今もアメリカでは狼擁護派と狼駆除派が熱いバトルを繰り広げていて*2、もちろん、それはアラスカやカナダだけの話じゃない。
辺境・近境 (新潮文庫)

辺境・近境 (新潮文庫)

村上春樹旅行記ではモンゴル人のガイドが移動中に見かけた野性のオオカミを執拗に追いかけ、追い詰め、射殺する様子が書かれている。放牧民である彼らにとって家畜=財産を狙うオオカミは天敵だから、見つけたら必ず殺す。赤ずきんちゃんでも、7匹の子ヤギでも、3匹の子ブタでも狼は常に悪役。映画、おおかみこどもの雨と雪でも雨が「オオカミって、どうしていつも悪者なの?」と尋ねるシーンがありますね*3


私の愛用しているカンケンバッグのフェールラーベン社は、ブランドロゴになっている北極ギツネの保護活動をサポートしています。もっとも、マンウィズに狼保護をして欲しいとまでは思いませんが・・・狼に恩恵を受けてるにも関わらず、還元どころか逆に毛皮推進ってのはやっぱりすこしばかり複雑な心境・・・。


そんな、毛玉ストラップですがガウポンの当たりを除くと日本武道館で売られたものが最後になり、その年末に義援金グッズのプロジェクトの終了と義援金集計報告がなされました*4
MAN WITH A MISSIONをいつも応援してくれている仲間達へ | トーキョータナカのブログ
正直なところを申し上げますと、お金の話なのだからブログではなくオフィシャルで内訳を告知するべきだし、「毛玉ストラップの売り上げの一部預かり金」というのも少し曖昧な表現*5日本武道館の毛玉(3029個)だけで300万円のお金が動いている訳で・・・せっかくこまめな発信が出来る環境にいるのだから月一でも半年に一度でも定期的に報告をすれば良かったのにと個人的には思います。
今後は自分で自発的な支援を…というのも、逆に今だからこそそういった商品が必要なんじゃないかとも思いますが*6、結局色々なことを総合的に考えるとこのまま不透明なまま続くよりはこうするのが良かったのかなという気もします。。


さて、前置きが長くなりましたが、
そんなことを踏まえて作ってみたのが・・・フェイクファー毛玉ストラップ。

触った感じはすこし本物とは違うけれど、そんなすこし全然我慢できる。
製作費608円、残りは被災地行きの募金箱に入れりゃ完璧でしょ?チャリンチャリーン♪

*1:生前のロミオ。もし興味があればこちらもどうぞ。

*2:100年以上前に狼を絶滅させてしまった日本人からするとそんな議論が出来ること自体が羨ましい。

*3:そのあたりはジル・ラガッシュの本か最近出版されたばかりの「オオカミたちの隠された生活」に詳しい。曰く、悪の化身である狼には出来る限り多くの苦痛を与えてから殺すという考え方が昔のオオカミ猟師には一般的で、その中には捉えたオオカミの下顎を切断して野に放つ→餓死せざるという手段もあったとのこと。オオカミバンド的にはなんとも因果を感じる話じゃないですか。

オオカミたちの隠された生活

オオカミたちの隠された生活

*4:大人の事情的なものを考えると2013年中にどうにかすることが移籍の際の契約になっていたんだろうなーとは思ってみたり。

*5:結局収益の何%ぐらいだったんだろう?

*6:今年もBUMP OF CHICKEN東日本大震災チャリティバンドを、B'zがチャリティーバンダナを販売します。GLAYは東北でEXPO開催だそうで。