ロックと共に年をとる

とっても面白かったです。

ロックと共に年をとる (新潮新書)

ロックと共に年をとる (新潮新書)

著者は読売新聞の音楽面を担当している方。
自身もロックと共に育ち、共に年をとってきた一人のファンシャーとしての前提があるから成り立ったようなインタビュー&エッセイ集。演奏技術やメンバー内の確執、社会状況の考察なんてマニアックな音楽雑誌ではなく、あくまで大衆に分かりやすく、それでいて興味をもってもらえるような記事を書こうとする新聞記者の真髄ここにあり!な感じ。

いや僕は必ずまたステージに戻ってくる。きっと90歳を超えても、震える声で「イエスタデェ〜」なんて歌っているよ。まあ生きていればだけど(ポール・マッカートニー

出てくる面々はとても豪華。
いわゆる大御所から今も活躍中のバンド、再結成をしたバンド・・・・・エアロスミス、ジェフベック、サンタナ、スティング、ニールヤング、ボンジョビ、フー、ディープパープルetc我が家のCDラックに並んでいる人がやたら多いのは、著者が1963年生まれなのを見て納得。
ちなみに1章の見出しはこんな感じ。

  • 「90歳でも歌うよ」とポールは言った
  • ビリー・ジョエルの迷い
  • 二十七歳厄年説
  • 再結成は「遠い将来」と語ったジョージ

ね?面白そうでしょ。インタビューの裏側もとても興味深い。

レッドホットチリペッパーズのギタリスト、ジョン・フルシアンテは復帰作となる「カルフォルニケイション」を出した直後のインタビューで、突然、前後の脈絡とは無関係な意味不明なことを話し始めたが、同席したボーカルのアンソニー・キーディスににらまれ、黙ってしまった。

ちょww

ギリギリまで身を削って作品を作るコーンのジョナサン・デイヴィスにお大事にと思いつつも。個人的に一番笑ったのはオジー・オズボーン。なんなんだあのムチャクチャでしかもチャーミングなおっさんはw

こういった裏話的なのやインタビューへの姿勢なんかをとても読みやすく、でも決して懐古的にはならず。全編に渡るサブテーマは「ロックオヤジカムバック!」な気がする。再結成やら復活で今はLIVEに行くのもお手軽ですよ、なんならフェス*1って手もありますよ、と、あくまで同年代のおっさんたちが手に取りやすいように。ロックが生まれてだいぶたち、ロックバンドも年をとり、聞き手も同じように年をとった。それってなんか素敵じゃない?という姿勢。

とにかく読みやすいので新書っぽくないんだけど、著者の真面目さと賢さと愛着がほどよくミックスされた好感のもてる本でした。小さな音量で古めのロックをBGMに流しながら読むのがオススメ。

*1:猫フェスについても書いてあるニャ!