荒野の呼び声は人にも聞こえる

やっと見れました。

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

クリストファー・マッカンドレス(1968〜1992)の記録。

何故かはわからないけれど旅に惹かれてすべてを投げ出す人がいる。例えば、乗り合いバスでアジアを旅した沢木耕太郎深夜特急)、アラスカに魅せられた写真家星野道夫、雪原に消えた冒険家植村直己などなどなど。

これに関しては原作がとても素晴らしいのでどうやって映画にするのかを楽しみにしていました。きわめて忠実に描かれていたと思います。原作では作者ジョン・クラカワー*1がクリスの消息を追い、詳細に書かれた日記を解読してゆく方式なのですが(ある意味フィクションでもある、死んだクリスが本当は何を考えていたのかはクリスしかわからない訳だから)映画では取材を続けるジョンの姿は一切出てこず、妹の解説とクリスの行動で話が進んでゆきます。

もちろん映画だからそれなりの起承転結をつけて飽きさせないようにしていましたが、それがとても自然な感じで良かった。何よりアラスカの大自然は映像で見ると本で想像するよりも遥かに壮大。サントラはpearl jamのボーカルEddie Vedderのソロ、アコースティックで渋い声。良い仕事してます。

原作でクリスは、あるちょっとした運のなさ(荒野で生き抜くには運の強さは必要不可欠な武器だ)によって命を落としてしまう訳ですが、そこのところだけ表現しにくいだろうな〜と思ったら案の定変わっていて、ヘラジカの後悔などがうまく表現できていた分少し引っかかった。映画が良かった方は原作も続けて読むとより一層クリスに愛着がわくと思う。

最後に映る彼の写真がとても余韻を残す映画でした。
ちなみに原作の表紙写真は実際に彼が発見されたバスの写真です。

荒野へ (集英社文庫)

荒野へ (集英社文庫)

*1:この人も冒険家