稲葉浩志の選ぶ本。

急に思い立ってB'zの稲葉さんがお勧めする本リストをまとめてみたよ!
ざっとリストアップしたら結構な数になっちゃったので、漫画は外して割と最近のそして(私の)好きな作品に厳選。並べるだけじゃ面白味が無いのでちょっとした解説も付けてみました。出来る限り出典も明記したつもりだけど詳しい号とかコメント等は検索してね。明日の読書の参考になればこれ幸い。

家出のすすめ (角川文庫)

家出のすすめ (角川文庫)

発言集TWELVEより。初めて海外に行く際に気持ちのうえで地球の歩き方的ガイドになった本。デビューして間もない90年代は今とはちょっと違うタイプの作品を上げていることが多かったような・・・・当時のイメージ戦略もあるでしょうが。いわゆる古典タイプの本ですがこれと「書を捨てよ街へ出よう」「ポケットに名言を」あたりは読んで損なし。
愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)

愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)

ツアーパンフより。村上春樹が翻訳したレイモンド・カーヴァーの短編小説集。人生のみみっちくも哀しい話が17編。あとがきから言葉を拾うなら「普遍的な人の営みの哀しみやおかしみ」意外ながらも村上春樹がお好きなようで1Q84もしっかり読んでるとのこと。3巻が出てすっかり内容を忘れてるなんて本好きあるあるエピソードを披露。
新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

えーっと2008年あたりの会報だったかな?ご存じNHKでドラマ化された日露戦争と秋山兄弟(ときどき正岡子規司馬遼太郎はそのまま「竜馬がゆく」「飛ぶが如く」「国盗り物語」と深みにはまっていった様子。ツアー中に坂の上の雲ミュージアム訪れたりもしてました。あまり歌詞に影響は感じられないけど時代小説も結構好きよね、猫に伊織って名付けるくらいだからね。ツアーパンフから。宮沢賢治と言えばオノマトペ。稲葉さんも結構へんちくりんな擬音語を使うんだけど、けっこうこの人の影響もあるんじゃないかなーと。ハマっていたのは2003〜2004年でしょうか、ちょうどPOMで「笑って目指そう今世紀最強の木偶の坊」とか言ってた頃ですかな。
まだ見ぬホテルへ (新潮文庫)

まだ見ぬホテルへ (新潮文庫)

従兄である稲葉なおと氏のエッセイ集。建築家であり紀行作家であり、なにより大のホテル好きである著者の世界の様々な宿をめぐる旅。新潮文庫版のみ稲葉さんの解説が掲載されています*1これは結構イレギュラーなお仕事かも。上質で品のある素敵なエッセイ、解説目当てで購入したのに、今やすっかりファンになって新しい新刊を待ちわびる日々。続編として「遙かなるホテル」も。

アラビアの夜の種族 (文芸シリーズ)

アラビアの夜の種族 (文芸シリーズ)

こちらはファンクラブ会報にて。古川日出男の名を一気に知らしめたアラビアンナイトファンタジー。ファンタジーと言っても寓話的でありながらエンタメ要素満載、いわゆるRPGのようなワクワク感。序盤のやたら格式高めなお高くとまってる文章で投げだすのはまだ早い、まさに禁断の書。

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

これも会報。圧巻の・・・何小説だこれ?河内十人斬りをモチーフに破天荒・町田康が書いた大作。自分で頑張れは頑張るほどそれが空回りして悪い方向へ流れてしまう一人の青年心情を追ううちに、リズムある河内弁にのってどんどん物語にのめり込んでゆく。最後の一文で思わず立ち上がれなくなった作品はこれと慟哭ぐらい。これもエンタメ系ですかね、単純に面白い。

トゥルー・ストーリーズ

トゥルー・ストーリーズ

ポール・オースターの自伝的エッセイ。「事実は小説よりも奇なり」がぎっしりつまった不思議な本。運命と言うべきか、それとも必然と言うべきか、なるようになるんだぜ人生っ!な。自伝ということでナショナル・ストーリー・プロジェクトよりもっと個人的なものが多い。オースター少年のほんの数秒の差で雷に撃たれて死んだ友人や筆記用具を持っていなかったがため野球選手からサインを貰えなかった話など今の作品の原点になるような逸話が多い。文庫落ちもしてるんだけど、こっちのハードカバーの装丁がすごく好きだ。そしてやっぱり翻訳は柴田元幸さんじゃないとね。
すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)

すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)

会報より、こちらは2010年の博多レコーディング時。コーマック・マッカーシー国境三部作、ざらざらした質感とシンプルで強い淡々とした文体。余計なことを言わない男は黙ってな世界観。タフな文章っつたらこのヒト、ある意味町田康とは対極にあるような文章かもしれない。私はやっぱり越境が一番好きかな〜狼出てくるし。メキシコ感があってアメリカの大きさを感じる。
ザ・ロード

ザ・ロード

コーマック・マッカーシーは相当お好みなようでこちらは雑誌から。荒廃しつつある世界の子連れ狼物語。なんかお腹減るよね、これ読んでると。武田百合子富士日記もお腹減るけど、こっちの方がもっとダイレクトに。確か映画の方もオススメしてました。マッカーシー1冊目にはこちらが一番とっつきやすいと思う。
海軍主計大尉小泉信吉 (文春文庫)

海軍主計大尉小泉信吉 (文春文庫)

ツアーパンフより。25歳で戦死した長男について父親が書き記したもの。厳格な雰囲気を持ちながらも深い愛情に溢れた名作。ささやかな仕草、ちょっとした会話、交友関係、嗜好、手紙・・・先に逝った息子の思い出は切ない。だけども生前彼から送られてきた手紙は変わらず明るく、それが救いというか慰めになっている。
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

会報より。2012年のお気に入りは映画「ドラゴンタトゥーの女」の原作ミレニアム。三部作の上下巻というボリュームたっぷり、どっぷり世界にハマる系。
荒野へ (集英社文庫)

荒野へ (集英社文庫)

グローリークロニクルより。恵まれた家庭に生まれ、優秀な成績で大学を卒業し将来有望のリア充生活を送っていた青年は、俗世間を離れ全てを捨ててひとり荒野へ入る。「身の程を知らない愚か者が自殺とも言えるような方法で命を落とした」という報道の裏にあったクリストファー・J・マッカンドレスの真実。ドキュメンタリーのように生前の彼を追っていく過程で、何を思い、何故死んだのかというミステリー要素も入っている秀作ノンフィクション。映画も良い作品ですが、原作も素晴らしい。

赤めだか (扶桑社文庫)

赤めだか (扶桑社文庫)

en-zineより。対談した落語家、立川談春さんの自伝。高校を中退し、立川談志に弟子入りした「ボク」は新聞配達をしながら落語の修行に励む。個性豊かな兄弟弟子、超個性豊かな家元。なぜか築地で働いたり、ハワイ旅行のお伴をしたり…とにかくムチャクチャ面白い。笑えて笑えるエッセイ。苦労話がこんなにも面白くなるとは、いやはや落語家とは恐ろしいお仕事。

以上、本好きのB'z好きによる俺得なまとめ一覧。
こう改めてざーっと見てみると意外にも厚みのある本が多いなぁーという感じ、男性の作家さんが多いけどジャンルは結構節操無くなんでも読んでますね。個人的には儚いダイヤモンドのモデルになった「全てを捨ててくだらないものをおいかける画家(だったような・・・)が何の本なのか未だ発見できず気になってます。情報求ム。*2松本さんのもやりたいんだけどなかなか・・・ね。

The sun shines upon all alike(太陽は万人を平等に照らす)という英語のことわざがありますが*3、なにを得て何を想うかはどうあれ、本を読むことも数少ない平等のひとつなんじゃないのかなーと思います。別に本読んでる方が偉いわけじゃないし、良いとも限らないし、歌詞解釈にはほとんど影響なさそうだけど、読書は極めて個人的な作業でありながら他人と共有することもできる。同じこの国で同じ時代を生きて同じ空気吸ってるのはラッキーだねっ!っていうミーハーなお話でした。

本当は本棚公開してもらえればいちばん嬉しい。そして気が向いたら第2弾もやりたいなー。

*1:ハードカバー&この前出た小学館文庫には載ってないので注意

*2:洋書までカバーしないと駄目かな・・。

*3:稲葉さん的には「ネオンサイン 道行く人を平等に照らす」のほうがすんなりくるか・・・ってこの歌詞は教訓じゃなくて情景描写としてこのフレーズがさらっと出てくるのが良いね。曲自体はねっちょりしすぎてあんまり好みではないんだけども

KI

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