武道館

今日この舞台上で生まれる空間だけが本当であり、大事なことなのだ。

武道館

武道館

スクールカーストをはじめとする学生の閉塞感を書かせたらピカイチな朝井リョウが手掛けたアイドル小説。
学校と芸能界、世界は違ってもアイドルも少女である点は変わらない。アイドル小説というか選択の物語でした。
女性アイドルグループ「NEXT YOU」のメンバー愛子を軸に、現在のなんてったってアイドル。・・・あ、この曲も秋元康か。NEXT YOUは架空のグループだけれど、そのエピソードは現実とフィクションが滲む。握手会やら週刊誌の熱愛報道、ネット炎上、刃物男に襲われ、フォトショップ加工、卒業に新メンバー、自分がもっと詳しければもっと違う楽しみ方が出来たんだろうなーって部分も多かったり。知ってて踊らされるという意味においては同じようなもんだけどねwまったくアイドルと縁の無い人・女性アイドルファン・男性アイドルファン・昔はファンだった・アンチアイドル。どんな人がどの視点で読むかによって好みが分れそう。キャラ立ちのハッキリしたアイドル達が聖地武道館を目指す王道の成長物語でもあり、現状の世論に対するアイドル論のようでもあり、一人の普通の少女が折り合いをつけて人生を決めてゆく物語でもあり。。

「アイドルじゃなくなったあとも、生きていくんだよ、私たちって」

なんてセリフやラストシーンを見ただけでも朝井リョウはアイドル好きでアイドルを取り巻く空気や文化そのものが好きなんだろうなーというのが伝わってくる小説でした。
アイドルがみんなのアイドルだった80年代じゃなくて、個人へとシフトしていった平成のアイドルってのが朝井くんらしいなと思ってはみるけれど1991年生まれの彼はいったいどんな学生時代を過ごしたのか気になる。超気になる。

今週末は待ちに待った武道館!行くのが楽しみです。