ザ・ロード
誰かの不幸せの上に 成り立つ生活
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2010/12/03
- メディア: DVD
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映画としてはどうなんじゃろ?と感じる部分が無かったわけではないのだけれど、色と音の使い方の印象的で予想してたよりもはるかによかった。淡々とした静かな映画。そしてなにより犬。
文字の本を視覚化するということは、良くも悪くも色々な部分がはっきりと明確化されてしまう。原作は「」が無いという独特の手法と突如挟まれる回想シーンでこれはいつなんだ??誰のセリフ???という不明確な部分が多く残されていて、それがこの作品の良さを際立たせているような気がしたんだけど、どうしても映画だと過去のフラッシュバックは鮮やかなカラーになる訳で、それはほとんどモノクロに近い現在の荒廃した風景*1との対比がインパクトを与える。
他人の見える怖さは本より倍増して(マジ、人食いの館怖すぎwホラーとかパニック映画レベルの怖さ)、逆に地下倉庫の喜びはそれほどでもなく、、・・・・状況が特殊なだけで扱っているテーマはかなり普遍的。息子より先に死んでゆく父親と父亡きあとは1人で生きていかなければならない息子の物語。なんのために生きるのか。それは他人を犠牲にしてもしがみつく価値あるものなのか。絶望の中に突如現れるささやかな希望と日々の繰り返し。そしてそれは状況を少し変えるといたって恒常的な日常。善き人という言葉に象徴されるように善行に対する羨望はすごくアメリカ的だと思う。終盤の善き人であるお父さんが盗人のものを身包み剥ぐシーンなんかダークナイトみたいだったもの。
最後のシーンはあれをどういう意図か解釈するので好き嫌いが分かれると思う。観客の為にと思うならば、好都合主義だと感じるだろうし、父親の為にと思うのであれば彼の旅は報われたというエンドになる。
とにかくあのシーンに犬がいたことが良かった。
家族と犬。食べられずに残った犬が救われない話を救いのあるものに変えてくれた。
- 作者: コーマック・マッカーシー,黒原敏行
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/06/17
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見終わってやっぱりコーマック・マッカーシーはアメリカ版ハードボイルド村上春樹という印象が強くなりました。