冬虫夏草

その一生の充実は、長さだけでは測れない。

冬虫夏草

冬虫夏草

家守綺譚の続編という位置づけと思われますが、どちらかというとスピンオフと呼んだ方がしっくりくるようなそんなお話。引き続き、駆け出しもの書き綿貫征四郎君を主人公に、人間以外のいろいろなケモノや妖怪と共存していた頃の日本を描く。今回は家を飛び出しイワナの宿&愛犬ゴローを探す旅へ。理解を越えた先にある存在に対する敬意と、優しくも筋の通った主人公の在り方、静謐な文章は前作と変わらず、読んでいる最中ずっと幸福感を味わえるのも引き続き。家守綺譚1冊で完結しているというのもひとつの主張としてはアリだけど、このままずっと忘れたころに続編が出るのもまた楽しみとなって良いと思う。七草粥のようにじんわり心が暖まる寒い日の読書。
家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚はたぶんずっと手放さない本。こんなに薄い文庫本なのに、その世界感は広大。