クマのプーさん

いやァんなっちゃう!

クマのプーさん Anniversary Edition

クマのプーさん Anniversary Edition

黄色いからだ、赤い服、ちょっと困ったようなマユゲになぜかおじさんのような声。これまで、クマのプーさんのイメージはディズニーのそれでしかなく、ストーリー自体もプーさんが穴にはまったのをみんなで助けたり、プーさんが風船につかまって・・・という断片とピグレット・イーヨー・ティガーなどのキャラクタ―しか認識してませんでした。
そんなプーさん初心者の私ですが、こちらの本を購入して大正解。ちょっと高いだけあって、素敵な装丁で内容もフルカラー、これまた素晴らしい挿絵がたっくさん、栞がリボンな点もすごくお気に入り。
今の時代より少し格式ばっている古めかしくも味わいがある石井桃子さんの言葉で紡がれるクマ、プーの物語。ユーモアに溢れ、時折突拍子もなく、それでいて悪意もなく、平和なものがたり。一番好きなキャラクターはロバのイーヨー。じめじめして寂しい湿地に住んでいるイーヨー、かなしげに「なぜ?」と考え、続く言葉は「なにがゆえに?」「いかなればこそ?」そして自分が何を考えているのか良く分からなくなる。なんだか他人のように思えない愛すべき年老いたロバのイーヨー。ちなみに上に書いた「いやんなっちゃう!」はプーさんがたびたび口にする言葉(なんか意外でしょ?)そして、恐ろしいタイミングの良さでアフタヌーンティーでclassic pooh特集やっててときめいてしまった。

ウォルト・ディズニーのすごいところは、今までてんで繋がりのなかった世界中の物語を上質なアニメーションによって均一化し、ディズニーというブランドを与えた事だと思うのだけれど、それは同時に子供たちが自分で作りあげたプーやアラジンやアリスがいなくなってしまったのだなぁーということを思いながらこの本を読んでいました。ちょうど同時進行してた本もそんな本だったからかも。