クレイジー・ハート

「ディティールにこだわりました。」

なんて監督のコメントが聞こえてきそうな、良く作られた映画。
昔一世を風靡したものの今は地方ドサ周りをするカントリー歌手*1とシングルマザーとその周辺。落ちぶれた中年歌手が一歩踏み出すまで。ベタベタの恋愛ものに非ず、そして単純な音楽ものでも非ず。本当にこんな歌手がいたような、昔流行った歌があったようなそんな不思議な錯覚を覚える。存在感と言うか空気感というか、役者ってすごいなぁ。
中年太りだろうが、ちょっと顔が好みじゃなかろうが、歌が上手かったり楽器が上手い人に女は弱いもんですが、ジェフ・ブリッジスはその辺の演じ方が異常に巧かった。本当テンガロン被ってギター弾いてると格好良いんだこれが!*2派手さの無い、静かな映画ではあるけれど、とてもラストが素晴らしい。文句のつけようのないハッピーエンド。同じ道を歩くことが幸せにつながるとは限らないのです。特に最後の空が美しかったなぁ。心が洗われるような深い色合いの空。
そんな訳で、人物の設定の細部と人間の感情の細部、どちらも非常にリアリティがある映画でした。裏のテーマはアルコール依存症かな?たった一度の過ちで壊してしまうものがあるんだという。
Crazy Heart

Crazy Heart

単調になりがちなストーリーをいい歌といい音楽が支えていました。

*1:日本でいう演歌みたいなもんなんだろうか?

*2:若干、豊満な肉体を見せつけ過ぎのきらいはあるけど