ふたつめの月

「勉強したことは、必ずどこかで役立つ。今ではなくても、いつかどこかでね。」

ふたつめの月 (文春文庫)

ふたつめの月 (文春文庫)

昨日買ってきて今日どくりょーう。良い本でした。
専門学校を卒業してフリーターから正社員になったものの諸事情にてリストラされ、親にも言えず、時間だけが過ぎて自分だけが取り残されてゆく焦燥感を抱える主人公と、友達以上恋人未満な片思いの男子と、とても描写が愛らしい愛犬2匹と、ふと現れて格言を残す老人が出てくるほんわか胸キュンミステリー。

ミステリーとしてのオチは弱いんだけど、それに向かうまでの空気がとても優しくて読んでいて安心できるお話。非常に道徳的でありながらそれがさりげなく出てきて、堅苦しいお説教になりがちな部分をかろうじて成長物語に納めているあたりに力量を感じた。2話の「パレードがやってくる」では完全なる少女マンガ的な展開でキュンキュンしましたよvあと、なんたって犬の書き方が非常に良かった。ここに出てくる犬は理想的な家庭犬としての犬の姿だ。
小説なんてフィクションと割り切って、「夢を追いかけるゼ、イェーイ!」みたいな本もいいんだけど。こういう学校で学んだことと全く違う仕事について、嫌いじゃないけどこれでいいのか?みたいな本の方がすんなり感情移入出来る気がする。そういう意味では結構タイミングに左右される本なのかも?若干物足りないような気もするけど、最近は仕事も忙しいから腹八分目ぐらいで。軽くさらっと。前向きに。

読みやすい人生訓として、先行き不安な道を歩いてゆくアナタにオススメ。