デス・ゾーン

 

いつか死んじゃうだろうなと思ってました。やんややんやと担がれて梯子を外される、いや外されたことにも気づいていない。ちょっと悲しい若者のノンフィクション。「エベレスト劇場」という題名の通り、応援しているスタンスではなくちょっと一歩引いたテレビマンからみた栗城史多

 

七大陸単独無酸素という誇大広告に騙され、キャッチーな「夢の共有」という言葉に酔う。責任を取らず、愛嬌と人懐こさで懐に入り込み、認定ピークで登ったことにする・・・SNSの認証欲求、タレントの登山、増えるアンチ。

クラスにいたひょうきんモノの男子がどんどんどんどん深みに嵌っていくようだ。ウォーキングデッドがシーズンを追うごとに過激になって行ったように。もっと刺激を、もっともっと!!そんな人間の業を見ているようでなんだかしんどい。でも、SNSで死んじゃう若者はこれから増えるんだろうなと思った。

 

本人が死んでしまった以上、死体蹴りと呼ばれるのかもしれないけれど、それ以上になんともいえない後味の悪さが残る。結局、人の心は分らないから。出来れば、生きて反論してほしかったな。